SHIDAXのDNA

あらゆる環境下で、最適解を見つける給食企業。青函フェリーで働く人たちを温かい食事で支えるシダックス

自分の目で見て動くべし

 ところかわって、こちらは北海道・函館港のフェリーターミナル。

食堂は函館フェリーターミナルの2階(写真だと建物前に停まる車のちょうど上の窓あたり)

 2階にある厨房の窓越しで、窓をのぞき込む男性の姿が。


 デジャヴのような光景に驚きつつ近づくと、そこに立っているのは函館港の食堂の店長、菊地 教文。海の様子を見て、調理の最終仕上げのタイミングを見計らっているのでした。

「船の到着時間はあくまで目安、目視確認が何より重要です。私は特に風に注意して見ています。例えば、港に向かってくる船に対し、向かい風のときは予定時刻より10分程度遅れますね」

 さらに驚くべきが、この「窓越し海観察」は両店長で決めたルールではないとのこと。両人とも、自発的に、同じ想いで同じ海を眺めているというのです。

やはり同じように何度も窓の向こうの様子をうかがいます

 この日は強い向かい風の日で船の到着が少し遅れている模様。


 そんなこの日のメニューは「北海道昆布塩ラーメン」。麺が伸びすぎるのは絶対に避けなければいけません。麺を茹でるタイミング、スープを温めるタイミングが肝となります。

船の様子を見てすぐに調理場に戻り、麺を茹でます

 風を注視する菊地がさらに気にしていたのは「下船する車の台数」。料理を運搬するタイミングに大きく影響するそう。

 海や船の確認が済み、ラーメンも茹であげ、いよいよ船への運搬。そこでも菊地の目が光ります。

「食事提供のタイミングは1回のみ。このタイミングで『あれを忘れてしまった』の失敗は許されません。炊飯器の電気は大丈夫か、小鉢を入れたバットを積んだか。スタッフと共有し、何度も何度も目視確認します」

 そして菊地も、数多くの調理経験を積んできました。「それでも、こういう店舗はないですね。通常の社員食堂だったら海を確認する作業はありませんね(笑)」とほほ笑む菊地の目は、「美味しい食事」のために、日々磨かれています。

料理を丁寧にコンテナに詰めていきます
運搬の様子。食器に忘れものがないか、
何度も何度も確認していました
青森港同様、船内に到着し、
料理を船員様に引き渡します

温かさが、格別のごちそう

 函館港で菊地から船員様に渡った料理は、船内の食事スペースへと運ばれます。支度が始まると、下船のひと仕事を終えて腹ペコの船員の皆様が続々と集まってきました。待ちに待った食事の時間です。

船員様で準備いただくスタイル

 この日のメニューは「北海道塩昆布ラーメン」に「明太高菜ごはん」、小鉢には梨のデザートが。「おっ、今日はラーメンだ!」と喜びの声があがります。

本文でも紹介した、この取材日のメニュー「北海道昆布塩ラーメン」と「明太高菜ごはん」
和気あいあいとした雰囲気が伝わります
菊地こだわりのラーメンのお味はいかに

「以前の弁当時代に比べると、各段に食事の時間が有意義になりました。今日のラーメンもそうですが、温かい料理を温かい状態で食べられるということに、シンプルにありがたく感じています。メニューは毎日美味しいですし、栄養面をいろいろ考えていただいていることにも感謝しています」と語るのは、青函フェリー株式会社 一等操縦士の成澤(なりさわ)様。

インタビューに答えていただいた成澤様(右)

 港での停泊時間は意外と短く、その上点検作業などの業務もたくさんあるため、船員様は下船することが難しいそう。

「だからこそ、船内での食事のひとときはとても大切。小鉢も日々変化があり、シダックスさんが栄養に気を配ってくれていることがよくわかります。美味しいご飯を食べることで次の業務の活力になります」(成澤様)

 船員部 課長の平川 良之様によると、「どのメニューもおおむね好評ですが、熱々のカレーライスが特に人気。回数を増やしてほしいという要望もあります」とのこと。

■次世代につながる「食」

 最後に、船員部 部長の坂本様にお話しを伺いました。

「シダックスさんにはいろいろと要望もお願いしてはいますが、その都度柔軟に対応いただき、本当に感謝していますし、とても満足しています。例えば、当初は麺類の提供がなかったのですが、調理方法の改善で実現いただきました。また残食の状況を都度確認して献立の変更を行うなど、前向きかつスピーディーに対応いただいている印象です」

船員部 部長の坂本様。シダックスのここまでの食事提供業務を高く評価いただいています

 また、食事面の充実は青函フェリー株式会社様の未来戦略にもつながっているとのこと。

「船員から『来週のメニュー表はまだですか?』と催促されるんですよ(笑)。それだけ食事が楽しみなんだと感じています。シダックスさんのおかげで食事環境が充実し、モチベーションアップはもちろん、当社の福利厚生面も充実しました。船員を目指す若い世代にPRでき、人材獲得にもつながっています」

今回の取材では、特別に船内の操縦席の撮影も許可いただきました。温かい食事をしっかりとった後は、活力もみなぎるという

 シダックス創業期の1960年代、厨房がない企業でも食事を提供する方式として編み出したのが、あらかじめ料理を本社の厨房で準備し、運搬し、最後のひと手間はクライアント様の敷地で喫食者様にお願いするという「Cスタイル」という方法でした。それから半世紀以上経ったいま、それに近い方法で食事を提供しているのが、今回の青函フェリー様。


 船上でも、温かくて美味しいラーメンを提供しようとする心意気。そしてそのための工夫と努力。どんな状況や環境でも、喫食者様の笑顔のためにチャレンジする精神は、まさにシダックスのDNAそのものかもしれません。船で働く皆様に美味しい食事を届けるため、今日も津軽海峡を見つめます。


<青函フェリーについて>

 旅客定員100~300名、寝室もある客室、バリアフリー、シャワールームも完備した旅客線です。青森~函館間をドライブ観光する際は、船旅でゆっくりと楽しむのはいかがでしょうか。

【公式WEBサイト】
https://www.seikan-ferry.co.jp

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