「社会課題解決型企業論」(志太勤一)

第4回「シダックスらしさ① 本当の幸福を追究しイノベーションを起す」

「本当の幸福」を追求した創意工夫が業界を変えていく

 シダックスの企業文化の根本には「利他愛」の心があります。これを持ったシダックス社員は「目の前のお客様の本当の幸福」を考えることになります。これが「社会課題解決」の理念となっていくことは連載第1回でお話しました。今回は、実際のビジネスにおいて、「お客様の本当の幸福」を考え、追究した社員の皆さんの創意工夫が、どのようにシダックスの企業発展を支えたのかをお話します。

 シダックスがサービス産業で生み出した発明、イノベーションは数多くあります。
 フードサービス事業では、現在も日本の社員食堂のデファクトスタンダードとなっているカフェテリア方式。車両運行事業では、お客様の車両を安全に運行管理する自家用自動車管理という業態の発明。自治体サービスのアウトソーシング事業では、公設民営分野での学童保育の開拓。その他、新事業から商品・サービス開発までイノベーションの例は枚挙にいとまがないほどあります。 イノベーションを生み続けことがシダックスの特異性の一つであることは間違いありません。今回は業界を変えるイノベーションを、なぜシダックスが生み出せたのかに焦点を当て、シダックスらしさとは何かについてお話したいと思います。

■3つのコア事業におけるイノベーション

 まず、たいていの方が、学校や食堂、飲食店などで体験されたことのあるカフェテリア方式。


 これはアメリカの給食会社のノウハウでした。シダックス創業者志太勤は、これを研究し、日本に合う形に変え、アイランド方式*など独自の工夫も加え、現在の形を創り上げました。まだ規模も大きくない当時のシダックスが開発にかけた期間は約4年。徹底したこだわりは「お客様のために」という強い信念から生まれました。

 当時、単品定食が主流だった給食は「選ぶ楽しみ」を得て、「選ばれるための美味しさ」を追究していくことになりました。そこで終わらないのがシダックスです。 「お客様の本当の幸せ」を追究した結果、いち早く「健康創造」という概念を構築し、「親が子に食を与える時の気持ち~マザーフードの心」をサービスポリシーとして、安心・安全かつ健康な食を追究し、研究所や一元物流システムを構築していきます。

 次に「自家用自動車管理」です。聞きなれない方も多いと思いますが、これは役員車などに代表される、自動車運行管理の一つの形式です。お客様が保有する自動車を、整備、運行まで一括して行う業態です。お客様のクルマだけでなく、命をお預かりする、という考え方のもと、運転手を「運転サービス士」と呼称し「礼節」を骨子として徹底した教育で一段階違うサービスを提供しています。


 自治体サービスにおいては、実に様々な業種があります。イノベーティブという意味で特筆すべきものは学童保育でしょう。

これは行政用語では「放課後児童クラブ」と言われ、小学校の児童を、学校が終わった後、保護者が迎えに来るまでお預かりする仕事です。自治体の直営、民間企業が行うなどさまざまな運営形態がありますが、シダックスは「公設民営」、つまり「自治体の事業を受託して運営する」方式で、約2,000教室、8万人の子どもたちをお預かりしています。

 学童保育を家庭・学校に続く「子どもたちの第3の居場所」と捉え、安心・安全に加え、さまざまなコンテンツを導入し、健全な育成をしている点が高く評価され、現在公設民営方式では日本トップシェアとなっています。地域、保護者、学校との連携、信頼関係を構築できたのは、ひとえに、各現場の社員たちが子供たちと真摯に向き合い、本部もレベルアップのために強力なバックアップをし続けたからです。これも「現状維持」に甘んじない、当社の「本当の幸福」を追求する姿勢の結実と言えるでしょう。


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