「社会課題解決型企業論」(志太勤一)

第3回「エッセンシャルワーカー集団シダックスの本質」

●企業の本質は企業文化に現われる

 この連載では、シダックスという企業の本質と特異性についてお話していきます。
 HPや企業情報を見ているだけでは、企業の本質はなかなかわかりません。企業の本質とは、その企業で働く人が何を大事にしているのか、どんな行動原理を持っているのか、どんなコミュニケーションを取るのか、といった企業風土、企業文化に現われるものです。
 同じ商材を扱っていても、企業文化が異なれば「売り方などの戦略」から「その企業の中での社員の行動、成長、人生」まで、大きく異なっていきます。
 シダックスは「サービス産業」に位置する企業です。前回、シダックスは「人と人の間に絆を育むヒューマンサービスを通して社会課題解決を目指す会社」とお話しました。これは私たちの目指している企業の形です。今回は、シダックスが他のサービス企業とどう違うのか、私たちの大切にしている価値観、育んできた企業文化についてお話しましょう。

●人と人の間に絆を育むエッセンシャルワーカー

 シダックスの仕事は、日々のベースフードである給食、地域交通を担う車両運行、学童保育の運営や公共施設の管理、その他自治体のさまざまな業務を担っています。私たちシダックス社員は、ほぼすべてがエッセンシャルワーカーです。エッセンシャルワーカーとは、社会生活を維持するために必要不可欠な仕事に従事する人々のことです。まさにシダックスは、約500種類もの「社会を支える仕事」を日本全国で担っている非常にユニークな企業なのです。
 私たちのサービス業は、人と人の間に絆を育むものです。これは決してAIに代替できません。この仕事を担う人財に必要なもの。それは「利他愛」の心です。「利他愛」とは自分以外の人の幸福を願う心のこと。
 シダックス社員に求められるのは「人を笑顔にすることで喜びを感じることができる」能力です。私は新入社員へお話するときに、まずこのことをお話します。社会を支えるエッセンシャルワークはたくさんあります。その中で、シダックスはどこか違うか。それは、自分の仕事、行動で他の人を笑顔にできた瞬間に大きな喜びを感じられる人の集まりであること、それがシダックスであり、シダックスの本質、企業風土なのです。
 安心・安全を実現するルール・マニュアルは大切ですが、それだけではなく「あなた」にしかできない仕事をする。日々の仕事と中で、お客様を想い、ちょっとした工夫を重ねること。それが、自分の人生を生きている生き心地ではないかと思います。私たちのサービスという仕事は「利他愛」の心から生き心地が生まれるのです。

●コミュニティを支えるエッセンシャルワーカーの誇り

 これからの日本社会は経済的には少子高齢化も進みダウンサイジングします。しかし、人を笑顔に、幸福にするサービス業は創意工夫次第で発展する可能性はまだまだ大きいと思います。一つには、これからはコミュニティが重要なポイントになると考えています。コミュニティとは共同体です。これは地域社会という意味もありますが、ITの進展による人、モノ、情報のつながりも含みます。これらが複合して人を幸せにする仕組みを、これからの日本は模索していかなければならないでしょう。
 シダックスはその仕組みの中で、非常に重要な役割を果たすことができると思います。4万人の社員が、日本全国約8,000カ所の現場でエッセンシャルワークに取り組んでいます。「利他愛」の心で、「目の前のお客様を本当の意味で幸福に」と考えるシダックス社員は、多くの創意工夫で、コミュニティの要となることができるでしょう。
 コミュニティを動かすのは、結局は「人」です。日本全国でシダックス社員が輝くことで、「笑顔」の輪が広がっていく。「利他愛」は、ただ施す、奉仕するというものではありません。自らの人生も輝かせ、自らの回りの大切な人を笑顔にして、経済も社会もよりよいものにしていく。人と人の間の絆が、経済圏を動かす未来社会をシダックスは追究していきます。
 この企業姿勢がシダックスの一つの本質であり、他の企業と異なる企業文化だと考えます。

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