「社会課題解決型企業論」(志太勤一)

第5回「サービス産業の進化を促すハイパーアライアンス」

■高度なビジネスアライアンスこそ人と人との「志の共有」が重要

 ここで、重要になるのは、アライアンスを結ぶ相手企業が、「和と利他の精神」「社会課題解決の志」を共有できるパートナーであるか否かです。

 なぜなら、企業連携では「自社の商品販路を広げよう」「自社の制度などのプラットフォームを使えば効率的になるはず」といった思考に往々にして陥いるからです。「本当の目的=新しいバリューの創出」より自社メリットが優先すれば、それは持続可能な発展をもたらしません。

 昨今はKPI管理からタイパ思考まで「短期の自己利益」優先の風潮が蔓延しています。この思考回路になると、知らず知らずのうちに、当初は志を持っていても、自己(自社)中心的になっていくものです。

 しかし、ビジネスを持続的に成長させるためには、「和と利他の精神」「社会課題解決の志」に根差した、長期で相互利益を目指す思考と行動が必須です。

 特に、事業が交錯し、利害調整が複雑になるハイパーアライアンスでは、確固たる信念に基づき「自分たちは何を目指していたのか? どんな未来を創ろうとしていたのか?」を常に問いただしていく必要があります。

 人に人格があるように、企業にも「社格」のようなものがあります。ハイパーアライアンスには大きな可能性がありますが、それを成功させるにはパートナーとなる企業に、こうした「社格」のようなものが備わっているかどうかが重要になります。 新しいビジネスバリューを世に送り出すパートナーシップは、テクニカルなスキルマップではなく、やはり「人と人の間の絆」から生まれます。「社格」は個々の社員の言動に必ず現れるものです。シダックスはこれからも「人財教育」に最大の注力をして、社員一人ひとりが「高い志」を体現し、すばらしいビジネスパートナーを選び、また選ばれる企業となるよう不断の努力を続けていきます。

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